今回は、弊社で取り扱う テキスタイルオートサンプル織機『織華』について、お話しをします。
「織華」は、いろんな試作を担当する部署の方に、ご興味を持って頂くことが多いので、今回は少し掘り下げて、織華に関するよくあるご質問を、設置の様子とあわせて仕組みもご説明していきます。ボリュームたっぷりの内容になっておりますので、お時間のある時にでも、ゆっくりご覧ください。
織華(カーボン版)の仕組み
9. 緯糸給線の仕組みについて
織華(カーボン版)の緯糸挿入は、張力調整・ねじれ・撚れ等、いろいろ気を付けないといけないのですが、織華ではこんな方法で、給線しています。
こちらは織華(カーボン版)の専用給線装置。
巻き返しされたリール(昔の8mmテープみたいですね。)から張力をかける事と、ねじれや撚れをしない事、の葛藤をしながら、緯糸を織る分量の2倍程度送出します。つまり、次の緯糸給線分を貯留しているんです。
貯留分量をどのように検知しているかと言うと、振り子のような、黒いロールがついたバーが、レピアが糸を運ぶ際に、上に上がった事を、接近センサーが感知し、次の分量を自動的に送出す仕組みになっています。
こんな感じです。
(A)2回分の糸量確保(写真の状態)⇒(B)レピアが糸を給線 ⇒ (C)1回分の糸量になる。⇒(D)一回分の糸量をリールが回転し送出す。⇒(A)2回分の糸量確保(写真の状態)
※(A)~(D)の繰り返しです。
課題は、糸リールが直ぐなくなってしまい、リールを交換する作業が多い事です。
現在、新しい機構(糸ボビン対応で交換を減らす)を設計中です。角度をかえるとこんな感じです。
10. 給線種類と緯糸カットの仕組み
カーボンはカットするのが難しい繊維として知られていますが、織華(カーボン版)は、最大2種類の糸(1種カーボン+他繊維1種)の給線+綺麗にカットする事が可能です。
「この機構は一見の価値あり」と、業界の方からは絶賛頂きました。
カーボンに代表される高強度繊維の場合も、屈曲に弱い物性を生かし、綺麗にカットします。糸の物性も考慮に入れている織華アピールです!
11. 経糸はどのように供給するのか?
業界ではカーボンを製織する際は、クリール(直取り)を良く聞きますが、織華ではちょっと違う方法を採用しています。
こちらは、織華(カーボン版)の経糸供給装置です。
カーボン1本1本を、予め巻き返し装置で準備したリールを一本の軸にして、ビームのようにしています。ビームといれば送出装置ですが、この経糸供給装置は送出しません。常に逆回転して、張力がMAXの状態です。
『安心して下さい。綺麗に織れますよ。』
企業秘密の工夫がされているので、経糸張力が一定に揃い、織物が綺麗に織れます。ボビン直取りと呼ばれる専用クリールに比べ、劇的に素材費用が少なくなります。
必要な量だけ、試作したい場合は、この装置がお勧めです。この装置は、福井県のある会社様にお願いして製作して頂いております。機会があれば、この会社の事もお話したいです。
12. 巻返装置の魅力
この織華(カーボン版)専用の巻返装置の魅力は、
ズバリ “ 必要な分量に巻き返せる ” 事です。
リワインダーでは出来ないカーボンも対応しています。この装置は、「百聞一見に如かず!」 です。
13. 織華の電源はどこにあるの?
織華(カーボン版)は、操作部が外側に配置されています。
何故かと言いますと、カーボンは伝導性が高い繊維なので、製織中のフライ等が、制御ボックス内に入らないようにする為なんです。
そんな事(改造?)も可能なのも、織華ならではかも知れません。
14. 織華(カーボン版)設置・納品直後の様子
事前現調作業に3日間、現地に搬入して3日間じっくり調整します。
繊細な位置調整がありますので、現場に合わせて高さを変えたりします。綺麗に織れる事を確認出来たら、運用指導をさせて頂きます。
そして、地元の電気業者様とも連絡を密に取って、装置は納品されます。
いかがでしたか?
今回は、たっぷりと織華話し、をしてしまいました。織機についてご興味のある方、知りたかった方、さらに織華にも興味を持って頂けたのなら幸いです。
(ブログ)テキスタイルオートサンプル織機『織華』のお話し。 (営業担当: 杉山)